こんにちは。
中学受験をされるお子様を持つ保護者の方で
子供が勉強しないので、いつも
「勉強しなさい!」と叱っています。
という方はいませんか?
確かに、勉強していない子を見ると、
つい叱ってしまいたくなりますよね。
でも、実際には、
叱っても良いことは何一つありません。
でも、
本記事では中学受験業界に10年以上携わってきた
プロ家庭教師Edenの居村が
- 「勉強しなさい」と叱るのは逆効果!
- 勉強しない子に対しての正しい接し方
についてお話しします。
ぜひご覧ください。
「勉強しなさい」と叱るのは逆効果です。
厳しさは必要ですが
「『子供は褒めて伸ばすもの』とか言われるけど、
正直うちの子には当てはまらないと思う…」
確かに、帰宅早々宿題をほっぽり出して、
スマホゲームに興じているような子供に対して、
甘やかすような態度を取るのは間違いです。
しかし、そこで必要になる「厳しさ」は、
あくまでも計算された「厳しさ」でなければいけません。
その観点からいくと、
「勉強しなさい!」という叱り方は、
かなり悪い結果を招く「厳しさ」です。
なぜ「勉強しなさい」はNG?
ここで、「勉強しなさい」という叱り方を細かく分析してみましょう。
「勉強しなさい」と言われた際に、
子供の内面で起こる現象を追跡してみます。
「勉強」=「強制」
まず、確実に言えることは、
「勉強」に対するイメージが、
「強制される、嫌なもの」として刻印されます。
それまでどんなに「勉強」に対してポジティブな印象を持っていようが、
一度、親から「勉強しなさい!」と強圧的に言われた時点で、
「勉強」のイメージは急落します。
もう少しわかりやすい例で置き換えて考えてみましょう。
ノートに落書きを書くことが楽しいのは、
それが「誰からも強制されない自由な行為」だからですよね。
それではもし、あなたが親や上司に、
「落書きしなさい!」と命令されたら、
それでもあなたは落書きを楽しく続けることができるでしょうか?
できませんよね。
もちろん、落書きと勉強は違います。
でも、「〇〇しなさい」と言われた際に
心の中で起こることは、全く同じです。
「勉強しなさい!」と言われて、
勉強が好きになる子はいません。
内容が曖昧
また、するべき「勉強」の内容が与えられていないので、
「勉強しろって言われたけど、何をしたら良いの?」
という曖昧さが残ります。
曖昧な命令は、
スキだらけなので、
「それをかいくぐろう」という心理が生まれます。
その場合、親から見て、
「勉強している」ように見えれば良いという話になるので、
「勉強しているフリ」をする能力ばかりが伸びていきます。
根本的な不信感
「勉強しなさい」と言われた瞬間、
子供は親との間の距離を感じます。
なぜなら、その命令に、
根拠がないからです。
親が「勉強しなさい」というほとんどの場合において、
その「勉強するべき理由」は親の都合です。
「そんなことない。子供が良い学校に入るために、
子供のことを思って…」
確かに、それは「子供のため」なのかもしれません。
しかし、その「目的」意識について、
子供と十分な合意をとった上でなければ、
その「子供のため」は「親の都合」の域を出ていないのです。
「親の都合」に触れた時、
子供は親に対する不信感を育てます。
そして、「親は監視し、子供はそこから逃れる」という
相互不信の関係がスタートしてしまうのです。
勉強しない子への正しい接し方
親が変わる必要があります。
「じゃあ、具体的にどういう風に接したら
子供は勉強するようになるの?」
子供が自分から勉強しない場合、
まず、親自身の子供に対する態度を反省してみる必要があります。
直接子供を変えようとするのではなく、
まず、子供に対して大きな影響力を持つ「親」自信が変わっていく必要があるのです。
この方法は、
一見遠回りに見えて、
実は1番の近道です。
子供の長所を何個言えますか?
「勉強しなさい!」と叱る前に、
やってみてほしいエクササイズがあります。
白紙の紙に、
あなたのお子さんの良いところを、思いつくだけ書き出してみてください。
…何個、書けましたか?
「子供が勉強しない!」と悩んでいるご家庭では、
大抵の場合、2〜3個しか出てきません。
一方で、
子供が勝手に勉強して成績が伸びていくご家庭では、
長所が10個も20個も出てきます。
「それは、優秀な子だからに決まってるじゃない」
…そうお考えですか?
実際は、逆なんです。
「子供が優秀だから親はその子の長所が言える」のではなく、
「親がその子の長所を言えるから、子供は優秀に育っていく」のです。
たとえ今の段階では子供の成績がパッとしなくても、
親が子供に対して良いイメージを持ち続けたご家庭では、
数年後に目に見える結果が現れてきます。
子供の長所をたくさん言えるということは、
それだけお子さんを観察しているということでもあります。
良い親は、良い観察者でもあるのです。
理由を考える
さて、いくらお子さんの長所を見つめたところで、
勉強していない事実は放置すべきではありません。
子供の長所を自覚した上で、
「じゃあ、どうして勉強しないんだろう?」と
立ち止まって考えてみましょう。
お子さんによって、事情は異なります。
- やってもやっても伸びないから。
- 直近のテストの点数が悪くて落ち込んでいるから。
- 「成績がいいから」という理由でいじめられたから。
- 何のために勉強しているかわからないから。
上にあげた理由以外にも、たくさんの理由が考えられます。
まず、お子さんをじっくり観察して、
理由を想像してみましょう。
ただし、
「ねえ、どうして勉強しないの?」
と、直接尋ねるのは厳禁です。
その質問は、
「勉強しなさい!」
の言い換えにしか聞こえないからです。
まず、「観察」が大事です。
じっくり観察し、子供の立場になって考えてみれば、
理由を解明するのはそれほど難しいことではありません。
対策を「一緒に」考える
ある程度理由が見えてきたら、
子供にさりげなく提案してみましょう。
「最近、勉強がはかどらないみたいだけど、
もしかして〇〇が原因だったりする?」
もしその推測が当たっていたら、
お子さんは「何でわかったの?」と驚くでしょうし、
外れていたとしても、
「そうじゃなくて、実は…」と心を開いてくれるでしょう。
「そっか。じゃあ、どうしたらその問題を解決できるか、
一緒に考えてみよっか」
このように、「命令を押し付ける」権威者としてではなく、
「子供の自発的解決を促す」補助者として自分を位置づけることで、
子供は自ら勉強する子に育っていきます。
子供との間の信頼関係こそが、
全ての土台となるのです。
今日は「『勉強しなさい』と叱ってはいけない理由」について話しました。
ぜひ参考にしてください。
今日の記事を終わります。
記事公開日・最終更新日 2021年3月28日
参考・引用
『日本一を育てた塾長の子供の成績を決める習慣教育』今村暁, 2008